鍼療日・ニュース
遊鍼会
遊鍼会 第三期 第1回 -灸法について-
あっという間に本会も三年目、第三期に入りました。『鍼灸要法』(1686年自序)の巻之二に入ったところで、灸法の条文を学んでいるため、灸の技術指導を行っています。
灸は台座灸が薬局で販売されており、ご家庭でも気軽にお使いいただけます。臨床では、艾(もぐさ)を用いて術者がひねり、艾炷(がいしゅ、米粒大・お米の形)に整えてから身体に据えます。線香で着火し、徐々に燃焼することで熱感があります。患者さんの体格や感受性などを考慮しつつ、熱のとおり具合を見きわめながら、ここちよく、または堪えられる範囲の熱感に調整しながら施術します。単に温めるだけであれば、当院で使用する遠赤外線照射器で充分ですが、やはり直接焼くことが重要です。これが関西では「やいと」と呼ばれるゆえんです。

今年のNHK大河ドラマ「べらぼう」では江戸の文化を掘り下げていますね。放送後のミニコーナーに鳥山検校の解説で、同じく検校の杉山和一を取りあげたそうです。杉山流といって、あん摩や鍼灸の流派の創始者です。当時、特に灸は寺や灸所で熱い灸を受けたり、患者さんが自らツボを探して灸をすえたりと、健康に養生に用いられました。抗生物質など、現在のような薬のない中、焼くことによって病気に対する効果が期待されました。また、それ以上に焼くことで得られる感覚の変化が重要だったように思います。
直接焼くためには、自在に熱感を操り、かつ患者さんの身体への侵襲を低く抑えるための技術が必要です。良い方法を身につけ、実践すること、10年は必要と思います。
参加者は、よく熱をとおして、火傷にならない灸をめざして訓練を行っています。
